隣の空き家をきちんと管理してもらいたいです。誰に対して申し入れをしたら良いのですか?
まずは建物の所有者に対して申し入れることになります。土地と建物の所有者が異なる場合は、建物の所有者に対して申し入れます。
建物が賃貸物件であり、借主がある場合は、借主に対して申し入れます。
空き家の所有者を確認する方法を教えてください。
不動産の登記事項証明書に所有者の住所氏名が記載してあります。登記事項証明書は法務局で発行してもらいます。手数料を払えば、誰でも取得することができます。
また、内容を確認するだけであれば、インターネットでの確認も可能です。こちらも所定の手数料がかかります。
登記事項証明書に記載されている人物が既に亡くなっているとのことでした。
空き家の所有者が亡くなっている場合、空き家に関する権利義務は相続により相続人に承継されます。
したがって、空き家の管理についての申し入れは、相続人に対して行う必要があります。
相続人の調査はどのようにして行うのですか?
登記事項証明書の記載から、各自治体において住民票、戸籍等を調査して、相続関係を確認します。
戸籍、住民票を第三者が取得するには、「自己の権利を行使するため」必要であることを説明しなければなりません。
ですので、その空き家所有者(相続人)に対し、法的にどのような権利を有しているかを考慮する必要があります。
相続財産管理人の申立てにかかる費用を教えてください。
相続財産管理人の申立人は、裁判所から予納金の納付を求められます。
事案にもよりますが、一般的に数十万円から100万円程度のケースが多いと思われます(相続財産の状況によっては、使われずに返ってくる場合や、そもそも予納を求められないケースもあります。)。
この予納金が問題解決の障害となっている面も否定できませんが、固定資産税の滞納状況によっては、自治体も申立人としての適格を有する場合がありますので、相談、働きかけを行うことも有用な場合があるかと思います。
相続人のうちの一人が行方不明とのことでした。
不在者財産管理人を選任する方法を検討しましょう。
不在者財産管理人は、財産の所有者が行方不明の場合、申立てにより家庭裁判所から選任され、その監督のもとで不在者の財産を管理します。
家庭裁判所に対して不在者財産管理人選任の申立ができるのは、民法上、利害関係人及び検察官です。空き家の隣地所有者として、何らかの請求する権利があれば、利害関係人に該当します。
隣の空き家の植木が大きくなってきてこちらにかぶさってきたので、伐採したいのですがどうしたら良いでしょうか。
隣地の植栽が越境してきている場合、越境された人は権利を侵害されているといえるため、相手方に対して切除を求めることができます。
隣地の植栽が越境してきたとしても、勝手に切ることはできませんので注意が必要です。
隣の空き家の屋根が崩れそうで危険です。どうすれば良いでしょうか?
所有権を有する者の権利として、1)返還請求権、2)妨害排除請求権、3)妨害予防請求権の3つがあります。
本問の場合、3)の妨害予防請求権の行使が問題となりますが、隣地の屋根があなたの敷地に崩れ落ちてきそうな場合は、これを予防するように請求することができます。
将来の所有権侵害を予防する権利であるため、現実に崩れ落ちてくるなどする前に請求することができますが、あくまで「妨害の可能性が大きい」場合に認められるものですので、軽微な場合は認められない可能性が高いと思われます。
隣の空き家に傾きが生じており、こちらに倒れて来そうなのですが?
前述したQAにおける妨害予防請求権と同じことが言えるのですが、場合によっては行政による対応が求められることもあります。
平成27年に施行された空家等対策の推進に関する特別措置法では行政(市町村)にも空家等に対する措置を適切に講じるよう努めるものと定められており、本問の空き家が「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」等にある場合、市町村は空き家を「特定空家等」であると判断したうえで、空家特措法に定める措置を行うこととなります。
すなわち、空き家所有者に対して「指導⇒勧告⇒命令⇒代執行」の手順が踏まれることとなります。
空き家を売却したいのですが、残置物が多く、すぐに撤去できません。
不動産取引実務においては、残置物なしで引き渡すことが原則ですが、この点は契約条件、相手方(買主)との協議によってはそのままの状態での売却も可能です。詳しくはご相談下さい。
雨漏りや柱の腐食など、老朽化が進んでおり、このままでは住めませんが、売却できますか?
売却可能か否かで考えると、可能ということになります。老朽化した町家や古民家の場合、そのままでは使えない状態の物も多くあります。
売却する場合、1)不具合を補修して売却する。2)現状有姿で(使えない建物として)売却する。という方法が考えられますが、1)の場合は、いくらで売れるかわからない物件に相当額の資本投下をすることになり、一般の方にとってはあまり現実的ではありません。
また、後々のトラブルを避ける(物件の瑕疵による売主の責任を切断する)意味においても、2)の方法により、買い手をを不動産業者などのプロに限って募るというのも、一つの選択肢となり得ます。
不具合があるとはいえ、納得した価格で売却したいです。
入札方式でのご売却を提案しています。NPOメンバーが入札管理人となり、最低売却価格を決めて、公正な、透明性の高い価格決定を目指します。早期に、簡便に、高値での売却が期待できます。
また、売買契約書については、当NPOの弁護士が内容をチェックします。